2007年 08月 01日
初のノイシュバンシュタイン城 |
夫の実家の両親も含めて大勢での旅行になるので、どこに滞在するかが悩みの種だった。ドイツ人の好む静かな森とか湖のほとりにすると観光地が遠くて移動が大変だし、ドイツ人の両親を日本人特有の慌しい観光コースにつきあわせるのも悪いし、板ばさみだ。そこで普段はあまり旅行の計画に協力的ではない夫が珍しく、「どうせノイシュバンシュタインに行くのだからその近くに泊まろう」と早めに宣言してくれたおかげで宿探しも的を絞れるようになった。(夫の意図はもちろん、車が嫌いなので毎日車で移動したくないというところからきている。)
インターネットとは便利なもので、ふと目にした旅行記を読むと「ノイシュバンシュタインの観光客はフュッセンの街中か、お城の駐車場のあるホーエンシュヴァンガウに泊まるのが一般的だが、その中間にあるシュヴァンガウという静かな村に泊まるのもおすすめ」と書いてあった。フュッセンの町はレストランや店もたくさんあるので便利だけど、やはり町なのでドイツ人組にとってはちょっと落ち着かないかもしれない。ホーエンシュバンガウは大型観光バスが次々と乗り付け観光客でごったがえし、お土産屋が立ち並び、1泊2泊ならいいがこの商売っ気漂う小さな通りに長期滞在するとちょっと飽きてくるかもしれない。シュバンガウの村は宿泊施設が固まることなく、ところどころにぽつぽつと、でも数は十分すぎるくらいにある。
数あるシュバンガウの宿の中から今回私が選んだのは、こちらだが、実際に滞在したのはこのホテルが所有するFerienbohnung(いわゆる貸し別荘)で、ホテルのある場所からは少し離れていて結局はホーエンシュバンガウのすぐ近くだったが、お土産屋通りからは離れているがノイシュバンシュタインはよく見えるほど近いという理想的なロケーションだった。しかしロケーションや場の雰囲気というものは本当に行ってみないとわからないものだ。私も行ってみるまでインターネットやガイドブックからは全く想像できず。結果的には偶然目にした旅行記のアドバイスを取り入れてよかったなと思う。
Ferienbohnungには3つの寝室、大きな居間、ひととおりの食器やキッチン用品のそろった台所、綺麗な浴室、どの部屋にも十分なクロゼットと収納具、サンルーム、バルコニー、ブランコや池もある大きな庭、と書くとすごく豪華だけど実際はまあまあ普通の家。6人くらいで泊まるならばホテルよりも安くあがる。近所のスーパーで毎日焼きたてのパンを買って、サラミやハムやチーズのカルテスエッセンを食べたり、日本人組は定期的に都会から持ち込んだ日清カップラーメンをすすったり、時にはフュッセンの中華料理やアジア料理を食べに行ったりしてカルテスエッセン拒否体質にならないよう工夫してしのいだ。
城の麓の村ホーエンシュバンガウ
初ノイとのご対面はシュバンガウに向かう車の中から。もうそろそろ見えてくるよ、という夫の発言に盛り上がり遠くに浮かび上がる白い白鳥の城。「おお、これが・・・私が5年待ったあの白鳥城なのだ・・・」。ドイツのことを何も知らない両親でもノイシュバンシュタインのことは十分予習済みだ。どんどんどんどん城が近づいてきて、こんなに近いの?っていうところまで来て宿泊だ。城の内部見学チケットはあらかじめインターネットで手配済み。とにかく着いた翌日にノイシュバンシュタイン参りをさっさと済ませてしまおうと予約しておいた。城までは坂が急なので馬車で行ったのがまた城へ行くんだという情緒を盛り上げてくれてよかった。真近で見る城はそれは美しいのであるが、遠くから見るのとはまた違う。ドイツで城といえば11世紀~13世紀に建設されたものが多く、また自分の村の教会ですら築900年だったりする夫家族の感覚では「この城はなんだか新しすぎる」と感じたようだ。確かに築城から100年ちょっとしか経っていない。この城をモデルにディズニーランドのシンデレラ城がデザインされたのだそうだが、「新しい」といわれてディズニーランド並みの人混みの中で再び見直して見るとなんだかシンデレラ城の巨大コピーが目の前に建っているような錯覚にふと陥る。おっといけない、そんなことを考えていては夢の城が台無しだ。
城の説明はここで書くまでもなくガイドブックやインターネットで見ていただいたほうが正確だが、たしかに豪華絢爛なすばらしいものだった。城を見る前にこの城を建てたルードヴィッヒ2世の孤独で数奇な人生のことを少し勉強していったほうが感慨が深いと思う。私は準備として、ヴィスコンティの「ルードヴィッヒ2世」のDVDを買った。完全版2枚組み240分の大作だ。日本から注文すると高いのでケチって夫にドイツで買わせたので、言語は音声も字幕もドイツ語かイタリア語。これじゃ内容わかんないって!後から知ったのだが、日本で買えるDVDの音声はイタリア語のみ。ドイツの話なのだからドイツ語で聴きたかった!という視聴者もかなり多いようだ。ドイツ語音声で日本語字幕があれば最高なのだが・・・でも、映像を見るだけでも彼の独特な人生や美意識は伝わってくる。どのシーンもまるでそこで静止したら名画のように美しい。ルードヴィッヒが唯一慕っていた彼の従姉弟であり絶世の美女とも謳われたオーストリア皇后エリザベートを演じるロミー・シュナイダーの演技がまた素晴らしい。映画全篇を通して流れるワーグナーの音楽も心にしみる。映画の撮影に使われたノイシュバンシュタイン城やリンダーホフ城も全て本物ということには圧倒される。城を見学した後に映画を見直すと、この目で見たばかりの「王の寝室」で苦悩するルードヴィッヒを演じるヘルムート・バーガーを見ていると本当のルードヴィッヒでないかと錯覚するほどだ。
あとは、城観光の前日にホーエンシュバンガウの土産屋で見つけた各国語で印刷されている「ルードヴィッヒ2世とノイシュバンシュタイン城」解説本の日本語版を買って読んでおいた。これは、小さいサイズで3ユーロくらい、中間サイズが6ユーロ、大判が10ユーロくらいだった。城の内部の装飾や絵画、部屋の説明も写真付で詳しい。こんな遠くまで城の内部を見学に来る労力を使うのだから、実物を見る前に読んでおくのはおすすめだ。
ノイシュバンシュタインの公式サイト
↑城見学のハイライト「歌人の間」。王の存命中にこの豪華な大広間が使われることはなかった。(城内は撮影禁止です。この写真は絵葉書です。)
↑至近距離でいろんな角度から撮影した城の姿。全体像とは全く異なるそれぞれの顔が近くに行くと見えてくる。
インターネットとは便利なもので、ふと目にした旅行記を読むと「ノイシュバンシュタインの観光客はフュッセンの街中か、お城の駐車場のあるホーエンシュヴァンガウに泊まるのが一般的だが、その中間にあるシュヴァンガウという静かな村に泊まるのもおすすめ」と書いてあった。フュッセンの町はレストランや店もたくさんあるので便利だけど、やはり町なのでドイツ人組にとってはちょっと落ち着かないかもしれない。ホーエンシュバンガウは大型観光バスが次々と乗り付け観光客でごったがえし、お土産屋が立ち並び、1泊2泊ならいいがこの商売っ気漂う小さな通りに長期滞在するとちょっと飽きてくるかもしれない。シュバンガウの村は宿泊施設が固まることなく、ところどころにぽつぽつと、でも数は十分すぎるくらいにある。
数あるシュバンガウの宿の中から今回私が選んだのは、こちらだが、実際に滞在したのはこのホテルが所有するFerienbohnung(いわゆる貸し別荘)で、ホテルのある場所からは少し離れていて結局はホーエンシュバンガウのすぐ近くだったが、お土産屋通りからは離れているがノイシュバンシュタインはよく見えるほど近いという理想的なロケーションだった。しかしロケーションや場の雰囲気というものは本当に行ってみないとわからないものだ。私も行ってみるまでインターネットやガイドブックからは全く想像できず。結果的には偶然目にした旅行記のアドバイスを取り入れてよかったなと思う。
Ferienbohnungには3つの寝室、大きな居間、ひととおりの食器やキッチン用品のそろった台所、綺麗な浴室、どの部屋にも十分なクロゼットと収納具、サンルーム、バルコニー、ブランコや池もある大きな庭、と書くとすごく豪華だけど実際はまあまあ普通の家。6人くらいで泊まるならばホテルよりも安くあがる。近所のスーパーで毎日焼きたてのパンを買って、サラミやハムやチーズのカルテスエッセンを食べたり、日本人組は定期的に都会から持ち込んだ日清カップラーメンをすすったり、時にはフュッセンの中華料理やアジア料理を食べに行ったりしてカルテスエッセン拒否体質にならないよう工夫してしのいだ。
城の麓の村ホーエンシュバンガウ
初ノイとのご対面はシュバンガウに向かう車の中から。もうそろそろ見えてくるよ、という夫の発言に盛り上がり遠くに浮かび上がる白い白鳥の城。「おお、これが・・・私が5年待ったあの白鳥城なのだ・・・」。ドイツのことを何も知らない両親でもノイシュバンシュタインのことは十分予習済みだ。どんどんどんどん城が近づいてきて、こんなに近いの?っていうところまで来て宿泊だ。城の内部見学チケットはあらかじめインターネットで手配済み。とにかく着いた翌日にノイシュバンシュタイン参りをさっさと済ませてしまおうと予約しておいた。城までは坂が急なので馬車で行ったのがまた城へ行くんだという情緒を盛り上げてくれてよかった。真近で見る城はそれは美しいのであるが、遠くから見るのとはまた違う。ドイツで城といえば11世紀~13世紀に建設されたものが多く、また自分の村の教会ですら築900年だったりする夫家族の感覚では「この城はなんだか新しすぎる」と感じたようだ。確かに築城から100年ちょっとしか経っていない。この城をモデルにディズニーランドのシンデレラ城がデザインされたのだそうだが、「新しい」といわれてディズニーランド並みの人混みの中で再び見直して見るとなんだかシンデレラ城の巨大コピーが目の前に建っているような錯覚にふと陥る。おっといけない、そんなことを考えていては夢の城が台無しだ。
城の説明はここで書くまでもなくガイドブックやインターネットで見ていただいたほうが正確だが、たしかに豪華絢爛なすばらしいものだった。城を見る前にこの城を建てたルードヴィッヒ2世の孤独で数奇な人生のことを少し勉強していったほうが感慨が深いと思う。私は準備として、ヴィスコンティの「ルードヴィッヒ2世」のDVDを買った。完全版2枚組み240分の大作だ。日本から注文すると高いのでケチって夫にドイツで買わせたので、言語は音声も字幕もドイツ語かイタリア語。これじゃ内容わかんないって!後から知ったのだが、日本で買えるDVDの音声はイタリア語のみ。ドイツの話なのだからドイツ語で聴きたかった!という視聴者もかなり多いようだ。ドイツ語音声で日本語字幕があれば最高なのだが・・・でも、映像を見るだけでも彼の独特な人生や美意識は伝わってくる。どのシーンもまるでそこで静止したら名画のように美しい。ルードヴィッヒが唯一慕っていた彼の従姉弟であり絶世の美女とも謳われたオーストリア皇后エリザベートを演じるロミー・シュナイダーの演技がまた素晴らしい。映画全篇を通して流れるワーグナーの音楽も心にしみる。映画の撮影に使われたノイシュバンシュタイン城やリンダーホフ城も全て本物ということには圧倒される。城を見学した後に映画を見直すと、この目で見たばかりの「王の寝室」で苦悩するルードヴィッヒを演じるヘルムート・バーガーを見ていると本当のルードヴィッヒでないかと錯覚するほどだ。
あとは、城観光の前日にホーエンシュバンガウの土産屋で見つけた各国語で印刷されている「ルードヴィッヒ2世とノイシュバンシュタイン城」解説本の日本語版を買って読んでおいた。これは、小さいサイズで3ユーロくらい、中間サイズが6ユーロ、大判が10ユーロくらいだった。城の内部の装飾や絵画、部屋の説明も写真付で詳しい。こんな遠くまで城の内部を見学に来る労力を使うのだから、実物を見る前に読んでおくのはおすすめだ。
ノイシュバンシュタインの公式サイト
by raquel_2006
| 2007-08-01 02:04
| ドイツ各地