2007年 04月 27日
ドイツ人からの苦情 |
以前もちらっと書いたけど、ドイツでは夕食はカルテスエッセンといって「火を入れない」のが普通。夫の実家を例にとると、いつ見ても同じ品揃えのソーセージ、ハム各種がタッパーに入っていてこれがドンとそのままテーブルにのる。あとはチーズや、時には大根をごく薄くスライスして塩をふったものやトマトなど生野菜も出る。パンは、義母が月に1回くらい赤ちゃんのお風呂のような大きなプラスチックのたらいで大量に作って薪を使ったオーブンで焼いて凍らしておく、飲料なしではむせかえるようなライ麦パン。このパンは多分ご両親が1年365日、朝と夕、過去数十年の間そしてこれからも必ず毎日食べ続けられるであろうアイテムの1つで、日本に遊びに来た時も、フランクフルトに泊まりに来てくれた時もなんと持参。彼等は昼食は時には冒険するが、夕食はカルテスエッセンでないと落ち着かないらしく、お姑さんがきたからお夕飯ご馳走作らなきゃ、という苦労もなく実に楽チンという良い面もある。「日本人は朝も昼も夜も1日3食ご飯を食べても平気だよ」といったら心底驚いていたが、ライ麦パンを毎日食べることができるというほうが私には驚きだ。
うちは幸い夫がこのカルテスエッセンをあまり好きではないが(多分うん十年これで育てられた後に素晴らしい日本のグルメを知ってしまったので後には戻れないのだろう)、自分の夫がカルテスエッセンしか受け付けない人の場合でも良い点はある。これがいったいどんなに楽か平均的な日本の主婦の夜とくらべると明白だ。日本のお母さんは、毎日のようにスーパーに買い物に行って新鮮なものを仕入れ、夕方から台所に立って「火を使った」調理をする。7時ころ子供に先にご飯を食べさせ、その前か後にはだいたい子供をお風呂に入れるという重労働が加算される。人によっては、自分のご飯はご主人が帰ってくる9時か10時か11時ころまで待って再度「火を使って」調理をして一緒に食べる。1食に使うお皿やお椀の量もハンパではないだろう。鍋やフライパンやお皿など山のような洗い物を多くの場合は食器洗い機を使わずに手で洗う。やっと一息ついてお風呂に入って場合によっては家計簿までつけて寝るのは夜中という方もいるだろう。ドイツの母さんだったら、6時に夕飯をテーブルに並べて、さっさとすませてまた冷蔵庫に戻して、使った数少ない皿(だいたい一人1枚)は食器洗い機に入れておいてたまったら回すだけ。7時か8時には子供を強制的に寝かせて(ドイツの学校は朝が早いので、子供は疲れてすぐ寝る)、あとは家事も残っていないフリータイム。ドイツの幼稚園や学校の両親の集まりは「Elternabent」といって、夜が圧倒的に多い。これなら仕事をしている父母も参加できるし、夫婦両方の参加も可能だ。
日本だと夕方になると方々から夕飯を作るいい匂いが漂ってきて「あのお宅は今日はカレーか・・・おいしそうだなぁ」と微笑ましくすら感じられるが、ドイツで毎晩毎晩匂いをぷんぷんさせて調理するアジア系やトルコ人は時には近所の苦情のまとになる”場合もある”と聞いたことがある。私もお昼はさらっとでもいいけど、夕飯くらいは暖かいものが食べたくなるので、時には「今日の匂いはちょっと強いかな」とご近所を気にするが、だいたいは毎日火を入れる夕飯を作っていた。
それが、ある日のこと。「匂いがひどいので、もう油を使った夕飯は作らないで欲しい」という苦情が・・・ドイツ人から・・・それも、一番言われたくない人からの文句。かなりへこんだよ・・・。
なんと 夫 です。
彼は油の匂いが大嫌い。日本にいる時も「揚げ物」はご法度だった。私はといえば、「揚げ物」が生きがい!?というくらい大好き。居酒屋に行って私に注文なんかさせると、10品中9品は全く気付かないうちに揚げ物を頼んでいる。日本はまだいい。家で揚げなくても出来合いのおいしい天ぷらやコロッケがスーパーで買える。天ぷら屋や豚カツ屋も半径1キロの間にいくつもあるだろう。しかしここドイツでは作るしかない。いくら油は嫌だといわれても、我慢は(私の)体によくない。
そりゃあ、ちょっと調子にのって作りすぎたかもしれない。春巻きを作って「油の匂いが家中に残っているね」とやんわりと注意された翌日にまた「餃子」を焼いたのがいけなかったらしい。「昨日の今日なのに一体なんなんだ」と怒りが爆発したらしい。当然私も反撃。
私「だってあんたいつもおいしいって食べてるじゃん!喜ばせるためにいったい何時間かかって作ったと思ってるの?(←実は自分が食べたいだけ)文句言うなら食べないでよろしい!白米だけ食っとれ」
夫「たしかにおいしいし、食べるのはいいんだ。ただ作らないで欲しい」
私「じゃあ角の餃子屋で焼きたての餃子が買えるってーの?油を使わない料理だけじゃあ私はもうこれから生きていけないよ。」(←かなり大袈裟)
そんなこんなでかなり険悪に喧嘩をした。先日ブログにのせたマグロ夕飯の写真を褒めてくれた人もいたけど、あれはこの喧嘩のあと「意地でも油を使わない料理を出してやる。」という執念の結晶でもあったのだ。だし巻き卵ですら、油を使っていない。鍋にだし汁を沸騰させてそこに溶いた卵をいれて網じゃくしすくって巻きすでぎゅーっと巻くの。(by 伊東家の食卓裏ワザ)
ま、この苦情はご近所からでなかったのでよかったのだけど、本当の苦情も一度ちょうだいしたことがある。これは、私ではなくて夫が朝早く地下室のドアにどうしても釘を打つ必要があってとんとんやったから。一番下の階に住む人が「○月○日の○時ころ、地下で釘を打つ音が聞こえました。この音がいったいなんであったのか、ご存知の方はお知らせ下さい」という婉曲ではあるがあきらかに苦情を訴えるフォーマルなレターを住民全員に出したようだ。これを読んでまた私は怒る。「明らかに苦情がくるようなこんなことをするべきではなかった。私を含め多くの日本人はご近所から苦情がきたらかなり落ち込むんだよ。」でも夫にこう諭された。ドイツでは、近所から苦情がくるなんていうのは日常茶飯事。ごく普通に気をつけて生活していても、いつか、誰かが、必ず、何らかの理由で苦情を訴えてくるに違いない。その苦情を個人的で感情的なものと捉えたらいけない。自分が悪ければ今後やらなければいいだけだし、悪くなければ必ず反論しなければならない。これは日本人にはきついかもしれないけど、こんなこと気にしていたらドイツでこれから長い間やっていけないよ。
ふーん、そうなのか。日本ではなるべく文句を言われないように生きてきたし、また多少の不都合があっても近所の人や赤の他人に面と向かって注意など滅多にしないと思う。こちらでは人は思ったことをずばずば言う。ここまではっきり言えたら気持ちいいでしょう!と賞賛したくなるほどだ。
まあ苦情は家庭内で聞かされ慣れているけどね。
うちは幸い夫がこのカルテスエッセンをあまり好きではないが(多分うん十年これで育てられた後に素晴らしい日本のグルメを知ってしまったので後には戻れないのだろう)、自分の夫がカルテスエッセンしか受け付けない人の場合でも良い点はある。これがいったいどんなに楽か平均的な日本の主婦の夜とくらべると明白だ。日本のお母さんは、毎日のようにスーパーに買い物に行って新鮮なものを仕入れ、夕方から台所に立って「火を使った」調理をする。7時ころ子供に先にご飯を食べさせ、その前か後にはだいたい子供をお風呂に入れるという重労働が加算される。人によっては、自分のご飯はご主人が帰ってくる9時か10時か11時ころまで待って再度「火を使って」調理をして一緒に食べる。1食に使うお皿やお椀の量もハンパではないだろう。鍋やフライパンやお皿など山のような洗い物を多くの場合は食器洗い機を使わずに手で洗う。やっと一息ついてお風呂に入って場合によっては家計簿までつけて寝るのは夜中という方もいるだろう。ドイツの母さんだったら、6時に夕飯をテーブルに並べて、さっさとすませてまた冷蔵庫に戻して、使った数少ない皿(だいたい一人1枚)は食器洗い機に入れておいてたまったら回すだけ。7時か8時には子供を強制的に寝かせて(ドイツの学校は朝が早いので、子供は疲れてすぐ寝る)、あとは家事も残っていないフリータイム。ドイツの幼稚園や学校の両親の集まりは「Elternabent」といって、夜が圧倒的に多い。これなら仕事をしている父母も参加できるし、夫婦両方の参加も可能だ。
日本だと夕方になると方々から夕飯を作るいい匂いが漂ってきて「あのお宅は今日はカレーか・・・おいしそうだなぁ」と微笑ましくすら感じられるが、ドイツで毎晩毎晩匂いをぷんぷんさせて調理するアジア系やトルコ人は時には近所の苦情のまとになる”場合もある”と聞いたことがある。私もお昼はさらっとでもいいけど、夕飯くらいは暖かいものが食べたくなるので、時には「今日の匂いはちょっと強いかな」とご近所を気にするが、だいたいは毎日火を入れる夕飯を作っていた。
それが、ある日のこと。「匂いがひどいので、もう油を使った夕飯は作らないで欲しい」という苦情が・・・ドイツ人から・・・それも、一番言われたくない人からの文句。かなりへこんだよ・・・。
なんと 夫 です。
彼は油の匂いが大嫌い。日本にいる時も「揚げ物」はご法度だった。私はといえば、「揚げ物」が生きがい!?というくらい大好き。居酒屋に行って私に注文なんかさせると、10品中9品は全く気付かないうちに揚げ物を頼んでいる。日本はまだいい。家で揚げなくても出来合いのおいしい天ぷらやコロッケがスーパーで買える。天ぷら屋や豚カツ屋も半径1キロの間にいくつもあるだろう。しかしここドイツでは作るしかない。いくら油は嫌だといわれても、我慢は(私の)体によくない。
そりゃあ、ちょっと調子にのって作りすぎたかもしれない。春巻きを作って「油の匂いが家中に残っているね」とやんわりと注意された翌日にまた「餃子」を焼いたのがいけなかったらしい。「昨日の今日なのに一体なんなんだ」と怒りが爆発したらしい。当然私も反撃。
私「だってあんたいつもおいしいって食べてるじゃん!喜ばせるためにいったい何時間かかって作ったと思ってるの?(←実は自分が食べたいだけ)文句言うなら食べないでよろしい!白米だけ食っとれ」
夫「たしかにおいしいし、食べるのはいいんだ。ただ作らないで欲しい」
私「じゃあ角の餃子屋で焼きたての餃子が買えるってーの?油を使わない料理だけじゃあ私はもうこれから生きていけないよ。」(←かなり大袈裟)
そんなこんなでかなり険悪に喧嘩をした。先日ブログにのせたマグロ夕飯の写真を褒めてくれた人もいたけど、あれはこの喧嘩のあと「意地でも油を使わない料理を出してやる。」という執念の結晶でもあったのだ。だし巻き卵ですら、油を使っていない。鍋にだし汁を沸騰させてそこに溶いた卵をいれて網じゃくしすくって巻きすでぎゅーっと巻くの。(by 伊東家の食卓裏ワザ)
ま、この苦情はご近所からでなかったのでよかったのだけど、本当の苦情も一度ちょうだいしたことがある。これは、私ではなくて夫が朝早く地下室のドアにどうしても釘を打つ必要があってとんとんやったから。一番下の階に住む人が「○月○日の○時ころ、地下で釘を打つ音が聞こえました。この音がいったいなんであったのか、ご存知の方はお知らせ下さい」という婉曲ではあるがあきらかに苦情を訴えるフォーマルなレターを住民全員に出したようだ。これを読んでまた私は怒る。「明らかに苦情がくるようなこんなことをするべきではなかった。私を含め多くの日本人はご近所から苦情がきたらかなり落ち込むんだよ。」でも夫にこう諭された。ドイツでは、近所から苦情がくるなんていうのは日常茶飯事。ごく普通に気をつけて生活していても、いつか、誰かが、必ず、何らかの理由で苦情を訴えてくるに違いない。その苦情を個人的で感情的なものと捉えたらいけない。自分が悪ければ今後やらなければいいだけだし、悪くなければ必ず反論しなければならない。これは日本人にはきついかもしれないけど、こんなこと気にしていたらドイツでこれから長い間やっていけないよ。
ふーん、そうなのか。日本ではなるべく文句を言われないように生きてきたし、また多少の不都合があっても近所の人や赤の他人に面と向かって注意など滅多にしないと思う。こちらでは人は思ったことをずばずば言う。ここまではっきり言えたら気持ちいいでしょう!と賞賛したくなるほどだ。
まあ苦情は家庭内で聞かされ慣れているけどね。
by raquel_2006
| 2007-04-27 18:05
| ドイツの慣習