2007年 04月 21日
ドイツにおける和食 |
ドイツに来てから、日本ではほぼ死語となっている「なんちゃって」という言葉がよく使われているのを聞いて懐かしい気持ちがこみあげた。用例は以下のとおり。
(例1) 駐在員の奥さんとの会話。
「ご主人のためにやっぱり毎日和食作ってるの?」
「うん。なんちゃってだけどね。」
(例2) ちょっと都心から離れた町に住んでいる人との会話。
「おたくの町にも寿司屋ができたんだって?」
「うん、でもなんちゃってなんだよ。」
1970年代の終わり頃に流行ったなんちゃっておじさんの存在をもしかしたら知らないような若い奥様までもがこの言葉を使っているのがおかしい。日本で使ったら若い子につっこまれそうだ。
フランクフルトには寿司屋がどこにもここにもあるのには心底驚いた。記憶が正しければ、5年くらい前にフランクフルトに寄った時はいまほどは目に付かなかったものだ。でも寿司屋があればいいってもんではなく、だいたいが中国人か韓国人経営の所謂「なんちゃって」寿司だ。Sushi Circle という回転寿司に行ったときは、回転している全ての皿が「二段」になっていて(省スペースでしょうか)、中身も春巻きやサモサなど「?」のものがよく回ってくる。マグロの味は悪くなかったが、他にはさほど興味を引かれるネタもなく、さくっと食べただけで二人で30ユーロくらい。(約5千円だよ!)この店にはお金のことは全く気にしない近くの銀行マンっぽい男性がたくさん来ていた。夫いわく、ここ数年寿司を食べるのはちょいリッチなビジネスマンのファッションなんだそう。
ある時ザクセンハウゼンの近くでSushi TAOといういかにもなんちゃっての店を見つけた時は「お昼は8.8ユーロで食べ放題」という看板をみて心が躍った。ネタをみると、「アヴォカド巻き」「ほうれん草巻き」などといったいかにも原価が安そうな巻き物や、太巻き、卵、魚の握りはサーモンくらいしか出ていなかった。しかし、時たま中国人のウエイターが厨房から握りたての寿司を持って出てくる。遠くからでもそれがただものではないのを感じ、たまたま席を立ったふうに見せかけて直進するとそれは「まぐろ握り」だった。この機敏な行動により新しい握りが来るたびに効率よくいいものを中心に食べ、いかにもまずそうで本当にまずかった中華ビュッフェにまで手を出し、お味噌汁を何倍もおかわりして、本当にお腹がはちきれそうなほどなんちゃって寿司を味わった。お会計の時に「アイスも食べ放題なんだけど食べないの?」といわれたけど、あれだけ寿司食べたらそんな余裕ないって。
大都会フランクフルトに来るまでは、ドイツで日本の食品が買えるとは知らなかった。(ネットなどで見てはいてもこの目で見たことがなかった)本当に、だいたいのものは買えますね。値段は日本の3倍くらいかな?韓国ショップ(キムチや冷凍プルコギ用薄切り肉が買える)やアジアショップ(中華からインドまで幅広い)でも和食に使える料理材料が安く買えるし、大きな店なら日本食も売っている。必要と思われるものはたくさん日本から持ってきたつもりでも、豆腐や納豆はこちらで買うしかないし、いつか在庫が底をつく日が来るだろう。1つ嬉しかったのは、こちらで「カニかま」が買えることだ。日本では「オホーツク」などと呼ばれる、カニに似せたスティック。我が家は手巻き寿司の時にこれを細かく割いてマヨネーズ和えにしたものを使う。日本でドイツ人に手巻き寿司をご招待したことは2,3回あるが、なぜか誰にもカニかまがとても好評で、「こんな邪道なもん食べないよ」っていう日本人からすれば驚きだろう。ドイツではこのカニかまを「ズリミ」(すり身のドイツ読み)という名前で売っている。そして寿司飯の上にズリミをのせただけのものも「寿司」と呼ばれている。中国ショップや韓国ショップで売っているズリミは、値段の割りに量が多いのだが、いかにもまずそうに見えるし、ぱさぱさで全然おいしくない!日本スーパーで買える紀文のカニかまはさすが瑞々しくて美味しい。日本から送られてくる週刊誌で寿司ネタ比べの記事など読みながら「こっちはドイツでズリミ比べかよ」と一人つっこみたくもなるが。
日本にいる友人は、面倒くさがりな私がドイツでは餃子の皮まで作ってると知って驚いていたが、海外に住むとみんな頑張ってなんでも自分で作るのだよ!ラーメンやうどんを打つ人もいるし、日本風の食パンはこっちでは買えないから作っちゃう人も。肉まんはさすがに買えないだろうと思って自分で作ってみた。(後日韓国ショップで冷凍を発見。でも高い。)皮はふわふわにできなかったけど、味はいちおう肉まんだったよ。普通のたけのこの代わりに、アジアショップで買えるラー油とまざったメンマ(桃屋のやわらぎみたいなの)を使うとちょっとピリ辛でおいしいよ。作り方はこちら↓
炊飯器で肉まん
フランクフルトならば生で食べられるマグロが買えるのも驚き。新鮮なマグロをみかけたら「寿司用?」ってきいてから買う。飛び上がるほど美味しいマグロではなかったけど、まあ日本のスーパーのお買い得マグロ程度?でもこれを手巻き寿司に入れてわさびをたっぷりつけて食べると口の中はもう日本。食べきれなかった時に漬けにして翌日お茶漬けの上にのせて熱いお茶をかけて霜降りにして食べてみたらこれがまたおいしいの!
そんなわけで、完璧にはほど遠いにしても、なんちゃって和食生活はけっこううまくいってます。本当においしい寿司や和食の店をしっている方はぜひ教えて下さいね。
←炊飯器で作ってみた肉まん。おいしく食べるコツは大阪蓬莱の肉まんの味を思い出さないこと。
←夫が一番喜ぶ夕食のパターン。納豆は手作りではありません。(いつになったら納豆製造をはじめるのかは未定)
←ズリミの王者、ブランド品の紀文カニかま。
(例1) 駐在員の奥さんとの会話。
「ご主人のためにやっぱり毎日和食作ってるの?」
「うん。なんちゃってだけどね。」
(例2) ちょっと都心から離れた町に住んでいる人との会話。
「おたくの町にも寿司屋ができたんだって?」
「うん、でもなんちゃってなんだよ。」
1970年代の終わり頃に流行ったなんちゃっておじさんの存在をもしかしたら知らないような若い奥様までもがこの言葉を使っているのがおかしい。日本で使ったら若い子につっこまれそうだ。
フランクフルトには寿司屋がどこにもここにもあるのには心底驚いた。記憶が正しければ、5年くらい前にフランクフルトに寄った時はいまほどは目に付かなかったものだ。でも寿司屋があればいいってもんではなく、だいたいが中国人か韓国人経営の所謂「なんちゃって」寿司だ。Sushi Circle という回転寿司に行ったときは、回転している全ての皿が「二段」になっていて(省スペースでしょうか)、中身も春巻きやサモサなど「?」のものがよく回ってくる。マグロの味は悪くなかったが、他にはさほど興味を引かれるネタもなく、さくっと食べただけで二人で30ユーロくらい。(約5千円だよ!)この店にはお金のことは全く気にしない近くの銀行マンっぽい男性がたくさん来ていた。夫いわく、ここ数年寿司を食べるのはちょいリッチなビジネスマンのファッションなんだそう。
ある時ザクセンハウゼンの近くでSushi TAOといういかにもなんちゃっての店を見つけた時は「お昼は8.8ユーロで食べ放題」という看板をみて心が躍った。ネタをみると、「アヴォカド巻き」「ほうれん草巻き」などといったいかにも原価が安そうな巻き物や、太巻き、卵、魚の握りはサーモンくらいしか出ていなかった。しかし、時たま中国人のウエイターが厨房から握りたての寿司を持って出てくる。遠くからでもそれがただものではないのを感じ、たまたま席を立ったふうに見せかけて直進するとそれは「まぐろ握り」だった。この機敏な行動により新しい握りが来るたびに効率よくいいものを中心に食べ、いかにもまずそうで本当にまずかった中華ビュッフェにまで手を出し、お味噌汁を何倍もおかわりして、本当にお腹がはちきれそうなほどなんちゃって寿司を味わった。お会計の時に「アイスも食べ放題なんだけど食べないの?」といわれたけど、あれだけ寿司食べたらそんな余裕ないって。
大都会フランクフルトに来るまでは、ドイツで日本の食品が買えるとは知らなかった。(ネットなどで見てはいてもこの目で見たことがなかった)本当に、だいたいのものは買えますね。値段は日本の3倍くらいかな?韓国ショップ(キムチや冷凍プルコギ用薄切り肉が買える)やアジアショップ(中華からインドまで幅広い)でも和食に使える料理材料が安く買えるし、大きな店なら日本食も売っている。必要と思われるものはたくさん日本から持ってきたつもりでも、豆腐や納豆はこちらで買うしかないし、いつか在庫が底をつく日が来るだろう。1つ嬉しかったのは、こちらで「カニかま」が買えることだ。日本では「オホーツク」などと呼ばれる、カニに似せたスティック。我が家は手巻き寿司の時にこれを細かく割いてマヨネーズ和えにしたものを使う。日本でドイツ人に手巻き寿司をご招待したことは2,3回あるが、なぜか誰にもカニかまがとても好評で、「こんな邪道なもん食べないよ」っていう日本人からすれば驚きだろう。ドイツではこのカニかまを「ズリミ」(すり身のドイツ読み)という名前で売っている。そして寿司飯の上にズリミをのせただけのものも「寿司」と呼ばれている。中国ショップや韓国ショップで売っているズリミは、値段の割りに量が多いのだが、いかにもまずそうに見えるし、ぱさぱさで全然おいしくない!日本スーパーで買える紀文のカニかまはさすが瑞々しくて美味しい。日本から送られてくる週刊誌で寿司ネタ比べの記事など読みながら「こっちはドイツでズリミ比べかよ」と一人つっこみたくもなるが。
日本にいる友人は、面倒くさがりな私がドイツでは餃子の皮まで作ってると知って驚いていたが、海外に住むとみんな頑張ってなんでも自分で作るのだよ!ラーメンやうどんを打つ人もいるし、日本風の食パンはこっちでは買えないから作っちゃう人も。肉まんはさすがに買えないだろうと思って自分で作ってみた。(後日韓国ショップで冷凍を発見。でも高い。)皮はふわふわにできなかったけど、味はいちおう肉まんだったよ。普通のたけのこの代わりに、アジアショップで買えるラー油とまざったメンマ(桃屋のやわらぎみたいなの)を使うとちょっとピリ辛でおいしいよ。作り方はこちら↓
炊飯器で肉まん
フランクフルトならば生で食べられるマグロが買えるのも驚き。新鮮なマグロをみかけたら「寿司用?」ってきいてから買う。飛び上がるほど美味しいマグロではなかったけど、まあ日本のスーパーのお買い得マグロ程度?でもこれを手巻き寿司に入れてわさびをたっぷりつけて食べると口の中はもう日本。食べきれなかった時に漬けにして翌日お茶漬けの上にのせて熱いお茶をかけて霜降りにして食べてみたらこれがまたおいしいの!
そんなわけで、完璧にはほど遠いにしても、なんちゃって和食生活はけっこううまくいってます。本当においしい寿司や和食の店をしっている方はぜひ教えて下さいね。
←炊飯器で作ってみた肉まん。おいしく食べるコツは大阪蓬莱の肉まんの味を思い出さないこと。
←夫が一番喜ぶ夕食のパターン。納豆は手作りではありません。(いつになったら納豆製造をはじめるのかは未定)
←ズリミの王者、ブランド品の紀文カニかま。
by raquel_2006
| 2007-04-21 18:55
| 食べ物