2007年 04月 03日
ウエルネスホリディ スパ編 |
ホテルの食事が期待以上においしかったのだが、やはりウエルネスのメインはスパでしょう。
このホテルのプールのお湯は塩分がかなりきつい。シュヴェービッシュハルという地名の「ハル」はもともと塩の出るところという意味だそうで、ここは古くから塩の産地として栄えた街だ。今はやりのソルトランプみたいな岩塩がジャクジーの回りにごろごろと飾ってある。あまりに綺麗で手を伸ばして触れてみたら指を少し切って血が出た。塩で手を切る人もこの世にはいるものだ。
ちなみに、ドイツ人にとっては、シュヴェービッシュハルと聞くとまずは同名の銀行を思い浮かべる人のほうが多いかもしれない。(←は、Bausparkasse Schwäbisch Hallのマスコットの fuchs君。いつもきつねと書こうとすると思わずfucks と書いてしまう、あぶないあぶない・・・)
だいたいドイツのスパというと、サウナ、大きな室内プールがいくつか、外のプール、温かいお湯のジャクジー(といっても38度くらいだから私たちにはぬるくてものたりないが)、マッサージルーム、ビタミンバー(飲みを出すちょっとした店)などがある。寒い日に入る外の温水プールは冷たい空気が頭を冷やしてくれて快適だ。ジャクジーはさすが大きなドイツ人の背中の血行をよくするためか勢いがすごい。ドイツのマッサージはオイルをたっぷり使ういわゆるアロママッサージだ。指圧が好きな私としてはいつも「ここをもうちょっと強く押続けてくれたらいいのに・・・」と物足りなく思うが、結果的には術後には痛みがすっかりとれて回復することが多いので気に入っている。
室内プールの1つは、いたるところにぼこぼこ泡がでているジャクジーだったが、時間によっては流れるプールになる。ちょうど息子と入った時にプール全体が鳴門海峡のように渦を巻きだした。みな、浮き棒(長さ2Mくらいの水にうく棒)を体に巻きつけてぷかぷか浮いている。私は泳げるし息子も腕に2つ浮き輪をはめているからそんな棒いらないわ!とさっそく渦に入る。最初はわー楽しぃー流れているゎーというかんじだったのが、だんだんすごいスピードになってきた。泳げそうな大人もみな棒をつけている意味がわかったぞ。あまりのスピードにびっくりして子供を手から離してしまった。どんどん離れていく母子。幸い子供は水に慣れていて腕の浮き輪でぷかぷか浮かんでにこにこと嬉しそうに流されていく。ここで「助けてー誰かーうちの子をとめてー」と叫ぼうかとも一瞬思ったのだが、誰もがリラックスしたこの空間で騒ぎをおこすのもどうかと思い冷静になる。そこで、1周して戻ってきたら渦に飛び込んで救い出す作戦に変更。途中から入水しやすいベストポイントにて待機して子供が流されてくるのを待つ。来た!果敢にも渦に飛び込んで救出、渦のないプール中心部へ脱出。その間1分もなかっただろうが、私にとっては悲劇の離散と救出成功のドラマだった。大事にいたらなかったが油断は禁物と肝に銘じる。
この小旅行ではもう1つ忘れ得ぬ個人的な体験をした。一般的にもいわれていることだが、ドイツは子供に厳しい国だな、と感じたことが私も何度かある。「厳しい」といったら言い過ぎであれば、公共の場や大人が楽しむ場でRuhe(静けさ、平穏)をかき乱すようなことをすると相手が子供でも容赦なく睨まれると言い直そう。以前仕事で知り合ったイタリア系の女性はドイツ人と結婚してミュンヘンに長く住むが、「イタリアと全く違ってドイツは子供に冷たいのよ、レストランに行っても、犬を連れて行けば”おお可愛い”って大歓迎なのに、子供だと”しっ!静かに”っていわれちゃうのよ」と言っていた。うちの子供が今よりずっと手が付けらなかった2歳のころ、人前でぐずられてあからさまに「おい、この子を黙らせろよ!」といわんばかりに睨まれたことは何度もある。そんな数少ない経験がトラウマとなってか、私は子供がぐずったり騒音をたてはじめるとしきりに周りを気にしてしまうほうだ。こちらのスパのお客さんはお年を召した方が多かったが、私と子供がプールで遊んでいると、どうもじーっと見られているような気がする。後から夫に「ちょっと、ちょっと、何よ、みんな私たちのことじろじろ見てさ。私がアジア人だからかぃ?ここは人種差別の人間の集まりなんかぃ?」と罪もない夫に詰め寄ったが「いやあ、僕もすんごくじろじろ見られたよ。多分小さい子を連れているから単に珍しいんじゃないかな」と言われる。たしかに、このホテルのスパは3歳以下は立ち入り禁止。私たちは宿泊客だから、特別に3歳児なのに入れてもらっていたのだ。最終日も私と息子は楽しくプールで遊んでいた。人様に迷惑をかけるほどうるさくしているわけでもないのに、今日もプールサイドから怖そうなおばあさんがこちらをじっと凝視している。私は目が悪いので、5メートル以上離れた人がどこを見ているのかわからないくらいだが、このおばあさんが私達を睨んでいるのは間違いない。だんだんそわそわしてきた。何か気に障ることを私達はしているのだろうか・・・と。やっと子供の気がすんでプールサイドに上がって部屋に戻ろうとする。怖いおばあさんの前をとおると予想通り「ちょっと・・・」と呼び止められた。ぎくっ。「ドイツ語はわかるかい?」「い、いえっ、少ししか」すると私のそんな答えは無視してゆっくり話し始めた。「あんたはいい母親だと思うよ」「?えっ??」何かの聞き間違いかなと思っておばあさんの話を聞いてみると言っていることは、「あんたらのことをじっと見ていたよ。」(知ってるってば!)「あんたは実に上手に子供を遊ばせていたね。好きなように冒険させて、かといってほったらかしでもなく常に一定の距離を保って気を配っていた。それはそれは上手に遊ばせていたよ。」とこんな具合だ。ここのところ何かにつけて自信を失っていた私が、ドイツの怖そうなご老人に生まれて初めてほめられて、この国で生きていけるかも・・・と勇気付けられた私にとっては大切な経験だった。大声で(おばあさんは耳が悪いわけでもないっていうのに)ダンケ!と叫んで思わず両手でおばあさんの手をにぎりしめた。
(追記)残念ながらスパの写真は撮っていません。ドイツのホテルのスパがどんな様子か見てみたい人はホテルのHPをご覧下さい。Wellness&Beauty のところにいくつか写真が載っています。ちなみに・・・サウナの写真は偽装(!?)です!ドイツでは混浴が普通ですが、タオルを巻いてサウナに入る人はいません。ドイツサウナ体験記は次回。
Hotel Hohenlohe
このホテルのプールのお湯は塩分がかなりきつい。シュヴェービッシュハルという地名の「ハル」はもともと塩の出るところという意味だそうで、ここは古くから塩の産地として栄えた街だ。今はやりのソルトランプみたいな岩塩がジャクジーの回りにごろごろと飾ってある。あまりに綺麗で手を伸ばして触れてみたら指を少し切って血が出た。塩で手を切る人もこの世にはいるものだ。
ちなみに、ドイツ人にとっては、シュヴェービッシュハルと聞くとまずは同名の銀行を思い浮かべる人のほうが多いかもしれない。(←は、Bausparkasse Schwäbisch Hallのマスコットの fuchs君。いつもきつねと書こうとすると思わずfucks と書いてしまう、あぶないあぶない・・・)
だいたいドイツのスパというと、サウナ、大きな室内プールがいくつか、外のプール、温かいお湯のジャクジー(といっても38度くらいだから私たちにはぬるくてものたりないが)、マッサージルーム、ビタミンバー(飲みを出すちょっとした店)などがある。寒い日に入る外の温水プールは冷たい空気が頭を冷やしてくれて快適だ。ジャクジーはさすが大きなドイツ人の背中の血行をよくするためか勢いがすごい。ドイツのマッサージはオイルをたっぷり使ういわゆるアロママッサージだ。指圧が好きな私としてはいつも「ここをもうちょっと強く押続けてくれたらいいのに・・・」と物足りなく思うが、結果的には術後には痛みがすっかりとれて回復することが多いので気に入っている。
室内プールの1つは、いたるところにぼこぼこ泡がでているジャクジーだったが、時間によっては流れるプールになる。ちょうど息子と入った時にプール全体が鳴門海峡のように渦を巻きだした。みな、浮き棒(長さ2Mくらいの水にうく棒)を体に巻きつけてぷかぷか浮いている。私は泳げるし息子も腕に2つ浮き輪をはめているからそんな棒いらないわ!とさっそく渦に入る。最初はわー楽しぃー流れているゎーというかんじだったのが、だんだんすごいスピードになってきた。泳げそうな大人もみな棒をつけている意味がわかったぞ。あまりのスピードにびっくりして子供を手から離してしまった。どんどん離れていく母子。幸い子供は水に慣れていて腕の浮き輪でぷかぷか浮かんでにこにこと嬉しそうに流されていく。ここで「助けてー誰かーうちの子をとめてー」と叫ぼうかとも一瞬思ったのだが、誰もがリラックスしたこの空間で騒ぎをおこすのもどうかと思い冷静になる。そこで、1周して戻ってきたら渦に飛び込んで救い出す作戦に変更。途中から入水しやすいベストポイントにて待機して子供が流されてくるのを待つ。来た!果敢にも渦に飛び込んで救出、渦のないプール中心部へ脱出。その間1分もなかっただろうが、私にとっては悲劇の離散と救出成功のドラマだった。大事にいたらなかったが油断は禁物と肝に銘じる。
この小旅行ではもう1つ忘れ得ぬ個人的な体験をした。一般的にもいわれていることだが、ドイツは子供に厳しい国だな、と感じたことが私も何度かある。「厳しい」といったら言い過ぎであれば、公共の場や大人が楽しむ場でRuhe(静けさ、平穏)をかき乱すようなことをすると相手が子供でも容赦なく睨まれると言い直そう。以前仕事で知り合ったイタリア系の女性はドイツ人と結婚してミュンヘンに長く住むが、「イタリアと全く違ってドイツは子供に冷たいのよ、レストランに行っても、犬を連れて行けば”おお可愛い”って大歓迎なのに、子供だと”しっ!静かに”っていわれちゃうのよ」と言っていた。うちの子供が今よりずっと手が付けらなかった2歳のころ、人前でぐずられてあからさまに「おい、この子を黙らせろよ!」といわんばかりに睨まれたことは何度もある。そんな数少ない経験がトラウマとなってか、私は子供がぐずったり騒音をたてはじめるとしきりに周りを気にしてしまうほうだ。こちらのスパのお客さんはお年を召した方が多かったが、私と子供がプールで遊んでいると、どうもじーっと見られているような気がする。後から夫に「ちょっと、ちょっと、何よ、みんな私たちのことじろじろ見てさ。私がアジア人だからかぃ?ここは人種差別の人間の集まりなんかぃ?」と罪もない夫に詰め寄ったが「いやあ、僕もすんごくじろじろ見られたよ。多分小さい子を連れているから単に珍しいんじゃないかな」と言われる。たしかに、このホテルのスパは3歳以下は立ち入り禁止。私たちは宿泊客だから、特別に3歳児なのに入れてもらっていたのだ。最終日も私と息子は楽しくプールで遊んでいた。人様に迷惑をかけるほどうるさくしているわけでもないのに、今日もプールサイドから怖そうなおばあさんがこちらをじっと凝視している。私は目が悪いので、5メートル以上離れた人がどこを見ているのかわからないくらいだが、このおばあさんが私達を睨んでいるのは間違いない。だんだんそわそわしてきた。何か気に障ることを私達はしているのだろうか・・・と。やっと子供の気がすんでプールサイドに上がって部屋に戻ろうとする。怖いおばあさんの前をとおると予想通り「ちょっと・・・」と呼び止められた。ぎくっ。「ドイツ語はわかるかい?」「い、いえっ、少ししか」すると私のそんな答えは無視してゆっくり話し始めた。「あんたはいい母親だと思うよ」「?えっ??」何かの聞き間違いかなと思っておばあさんの話を聞いてみると言っていることは、「あんたらのことをじっと見ていたよ。」(知ってるってば!)「あんたは実に上手に子供を遊ばせていたね。好きなように冒険させて、かといってほったらかしでもなく常に一定の距離を保って気を配っていた。それはそれは上手に遊ばせていたよ。」とこんな具合だ。ここのところ何かにつけて自信を失っていた私が、ドイツの怖そうなご老人に生まれて初めてほめられて、この国で生きていけるかも・・・と勇気付けられた私にとっては大切な経験だった。大声で(おばあさんは耳が悪いわけでもないっていうのに)ダンケ!と叫んで思わず両手でおばあさんの手をにぎりしめた。
(追記)残念ながらスパの写真は撮っていません。ドイツのホテルのスパがどんな様子か見てみたい人はホテルのHPをご覧下さい。Wellness&Beauty のところにいくつか写真が載っています。ちなみに・・・サウナの写真は偽装(!?)です!ドイツでは混浴が普通ですが、タオルを巻いてサウナに入る人はいません。ドイツサウナ体験記は次回。
Hotel Hohenlohe
by raquel_2006
| 2007-04-03 20:10
| ドイツ各地