2009年 05月 31日
抹茶君に教えてもらったこと① 低温調理法 |
ドイツはもうすっかり夏だなあと思ったのもつかの間、また逆戻りして涼しい日々が続いています。泳ぎにいくにはちょっと寒いけど暑くもなく寒くもなく快適な気温といえるでしょう。長い間ネットから遠ざかっていてブログも前回からずいぶん時間がたってしまいました。このブログは遠くに住む友人にちゃんとドイツで生きてるよ、と知らせるという目的もあるので月に1回は書かないとまずいだろうと、5月最終日ぎりぎりの投稿です。最近のブログを読み返してみるとなんだか自分の生活はまるでオパと抹茶君を中心にまわっているかのようです。まあ実際はそんなこともないのですが、改めて書くとなるとついこの2人がネタになってしまいます。
というわけで今日も抹茶君のはなし。
以前抹茶君の子供の洗礼式パーティに招待された時に、ジューシーなラムのバーべキューをご馳走になった話をちらっと書きましたが、あれは低温調理法で作ったと言ってました。低温調理法とは60度~70度で肉や魚を加熱調理する方法で、レストランなどでも使われている手法だそうです。水分が肉から出ないのでふっくらジューシーに仕上がります。日本だと炊飯器調理が大人気ですが、低温でじっくり調理するまさに低温料理の手法ですね。
抹茶流のラムの低温料理バーベキューの説明は実にシンプル。
①ラムの塊肉を8時間ほど(それ以上でも可)、90度くらいのオーブンにいれておく。
②すでに低温調理してある肉をスライスしてバーベキューグリルでさっと表面の焦げ目がつくように焼く。
注)オーブンの温度は100度以下で。ただし60度以下だと細菌が繁殖するので気をつけること。オーブンで低温調理した肉をあとからさっと焼く方法と、さっと焼いてからオーブンで低温調理する方法がある。
それだけ。たったそれだけ、なのに、「うっなんだこの柔らかさは!今まで食べたことのないじわーっとしたおいしさ」とうなるほどだったのです。本当は、にんにく味のマリネをしてからオーブンで焼くとおいしいのだそうですが、抹茶君のお父さんがにんにくが嫌いなので今回はマリネしなかったとのこと。
このラムをご馳走になってから、いつかは低温調理をやってみようと思っていましたが、なにせやったことがないものをどう作ったらいいのかわからないので実行に移せないでいました。抹茶君の説明はいつも簡単でアバウトすぎて実行に移すには不安です。これおいしいからレシピちょうだいといってもレシピがなくて毎回適当に作っているというのだから仕方ない。
ある日のこと、抹茶君の家に遊びに行くと、夕方の5時ころだというのに抹茶君が台所でなにやらお料理をはじめたようす。ああもう夕飯の時間か、(ドイツ人の夕飯は6時くらいだったりする)悪いからそろそろ帰らねば・・・とそわそわしていたら、「ちょっと台所に来てごらん、見せたいものがあるから」とのお誘い。低温調理を目の前で見せてくれるというのです。ちなみに、その日の抹茶家の夕飯のメインは「厚切りビーフステーキ」。めったに肉は食べないけれど、食べるならばBIOファームで解体した新鮮な肉しか買わないというこだわりを持つ抹茶君の選んだビーフは生のうちからおいしそうです。(以前に一度「今日手に入った新鮮な牛があるんだけどいらないかい?」といって持ってきてくれた牛のひき肉は生で食べたいほどの新鮮さで、その肉だけで作ったハンバーグはジューシーでうなるほどおいしかったものです。新鮮といっても、牛の食べごろは解体後9日か10日目なのだそう。)その厚切りのビーフをフライパンでさっと表面にこげめがつくまで焼きます。それを耐熱皿にのせて90度くらいのオーブンに入れます。それだけ。そのまま、家族みんなが食べる時間まで放置しておくだけ。焼く時間は、ビーフステーキの場合は30分~1時間くらい。それ以上だったら2時間でも、3時間でも、おいしさは変わらないのだそうです。以前何かの塊肉をオーブンに放置したまま出かけてしまい、気がついたら12時間たっていたけれど充分おいしかったと言ってました。
ステーキの付け合せは、「クネーデル」です。クネーデルというのはドイツ語で「おだんご」という意味で、じゃがいもで作ったものやパンで作ったものがこちらでは食卓に頻繁に登場します。抹茶流クネーデルは数種類の粉で作ったもの。抹茶君は自家用粉挽き機を持っていて、料理やケーキ作りに使う小麦粉などすべての粉は、「自分の家で挽きたて」というのが自慢です。クネーデルに使った粉はライ麦その他もろもろ、粉に弱い私は牛肉指導で頭がいっぱいいっぱいで何を使ったかよく覚えていません。その挽きたての粉にクワルクというドイツでは非常にポピュラーなチーズ(乳を乳酸発酵させて凝固させたもの)をまぜて丸めます。それを、これもまた抹茶君自慢のスチームクッカー(電気蒸し器)に入れて15分くらい蒸します。電気蒸し器があると、コンロがふさがっていても蒸し料理ができるし、タイマーがついているのでうっかり忘れることもなく便利だと抹茶君はたいそう気に入っているようです。これは蒸し料理をもっと作りたい私も欲しいと思っていますが、台所のカウンターのスペースを食うのが玉に瑕で、粉挽き機だの電気蒸し器だのであふれかえった抹茶君の台所カウンターは「食べ物を置く隙間もないほど」ごったがえしています。
料理を教えていただけるだけだと思っていたのですが、料理ができたら当然のように「さ、みんなで食べよう席について」と言われてご馳走になることになりました。ビーフステーキにクネーデルにサラダ。仕事に疲れて帰ってきた奥様も大満足のテーブルです。初めて低温調理したビーフを食べましたが、うゎあああああと叫ぶくらいやわらかい。塩コショウすらしていないというのに、肉の味が直に伝わってきておいしい。クネーデルはもちもちしていて、ちょっとチーズの酸味があってワイルドな粉が実に自然の滋養に満ちているかんじでおいしい。なんか、大草原の小さな家を都会のキッチンでやってみましたという感じです。抹茶家は決して贅沢な暮らしをしているわけではなくむしろかなり質素ですが、ドイツ人には珍しく、衣食住のうち「食にもっともお金と情熱をかけている」のがわかります。
抹茶家の食卓レポートが長くなりましたが、家でもその後やってみました。思い切って1キロ38ユーロもする牛フィレ肉を買ってみました。こちらでは高いほうですが、日本だと100グラム400円くらいの牛肉って普通にありえますよね。これをささっと焼いて、90度のオーブンに入れておきます。夫が帰って来て食べる準備ができるまでだいたい1時間ほどオーブンに放置していましたが、本当にジューシーでおいしかったです。これはおもてなしにもいけるかも?と思いました。ステーキは焼きたてを食べて欲しい。でもお客様が来てから台所に立って調理するのはばたばたしてスマートでない。焼いておいてオーブンにいれておけば、いつでもお出しできて暖かい。
その後、これは安い肉でもこんなにジューシーでおいしいのかな?と実験してみました。今回は激安スーパーで値段は3分の1以下のキロ10ユーロくらいの牛ステーキ用。同じ手法でやってみましたが、やはりこちらは固くて不味かったです。あわてて細切りにしてありあわせの野菜やオイスターソースで炒めてなんちゃって中華に変身させてなんとか食べられましたが・・・。当然といえば当然ですが、お肉は調理方法だけではなくて素材も重要だなあと思った次第です。
↑表面をさっと焼いて低温のオーブンに入れたところ。
というわけで今日も抹茶君のはなし。
以前抹茶君の子供の洗礼式パーティに招待された時に、ジューシーなラムのバーべキューをご馳走になった話をちらっと書きましたが、あれは低温調理法で作ったと言ってました。低温調理法とは60度~70度で肉や魚を加熱調理する方法で、レストランなどでも使われている手法だそうです。水分が肉から出ないのでふっくらジューシーに仕上がります。日本だと炊飯器調理が大人気ですが、低温でじっくり調理するまさに低温料理の手法ですね。
抹茶流のラムの低温料理バーベキューの説明は実にシンプル。
①ラムの塊肉を8時間ほど(それ以上でも可)、90度くらいのオーブンにいれておく。
②すでに低温調理してある肉をスライスしてバーベキューグリルでさっと表面の焦げ目がつくように焼く。
注)オーブンの温度は100度以下で。ただし60度以下だと細菌が繁殖するので気をつけること。オーブンで低温調理した肉をあとからさっと焼く方法と、さっと焼いてからオーブンで低温調理する方法がある。
それだけ。たったそれだけ、なのに、「うっなんだこの柔らかさは!今まで食べたことのないじわーっとしたおいしさ」とうなるほどだったのです。本当は、にんにく味のマリネをしてからオーブンで焼くとおいしいのだそうですが、抹茶君のお父さんがにんにくが嫌いなので今回はマリネしなかったとのこと。
このラムをご馳走になってから、いつかは低温調理をやってみようと思っていましたが、なにせやったことがないものをどう作ったらいいのかわからないので実行に移せないでいました。抹茶君の説明はいつも簡単でアバウトすぎて実行に移すには不安です。これおいしいからレシピちょうだいといってもレシピがなくて毎回適当に作っているというのだから仕方ない。
ある日のこと、抹茶君の家に遊びに行くと、夕方の5時ころだというのに抹茶君が台所でなにやらお料理をはじめたようす。ああもう夕飯の時間か、(ドイツ人の夕飯は6時くらいだったりする)悪いからそろそろ帰らねば・・・とそわそわしていたら、「ちょっと台所に来てごらん、見せたいものがあるから」とのお誘い。低温調理を目の前で見せてくれるというのです。ちなみに、その日の抹茶家の夕飯のメインは「厚切りビーフステーキ」。めったに肉は食べないけれど、食べるならばBIOファームで解体した新鮮な肉しか買わないというこだわりを持つ抹茶君の選んだビーフは生のうちからおいしそうです。(以前に一度「今日手に入った新鮮な牛があるんだけどいらないかい?」といって持ってきてくれた牛のひき肉は生で食べたいほどの新鮮さで、その肉だけで作ったハンバーグはジューシーでうなるほどおいしかったものです。新鮮といっても、牛の食べごろは解体後9日か10日目なのだそう。)その厚切りのビーフをフライパンでさっと表面にこげめがつくまで焼きます。それを耐熱皿にのせて90度くらいのオーブンに入れます。それだけ。そのまま、家族みんなが食べる時間まで放置しておくだけ。焼く時間は、ビーフステーキの場合は30分~1時間くらい。それ以上だったら2時間でも、3時間でも、おいしさは変わらないのだそうです。以前何かの塊肉をオーブンに放置したまま出かけてしまい、気がついたら12時間たっていたけれど充分おいしかったと言ってました。
ステーキの付け合せは、「クネーデル」です。クネーデルというのはドイツ語で「おだんご」という意味で、じゃがいもで作ったものやパンで作ったものがこちらでは食卓に頻繁に登場します。抹茶流クネーデルは数種類の粉で作ったもの。抹茶君は自家用粉挽き機を持っていて、料理やケーキ作りに使う小麦粉などすべての粉は、「自分の家で挽きたて」というのが自慢です。クネーデルに使った粉はライ麦その他もろもろ、粉に弱い私は牛肉指導で頭がいっぱいいっぱいで何を使ったかよく覚えていません。その挽きたての粉にクワルクというドイツでは非常にポピュラーなチーズ(乳を乳酸発酵させて凝固させたもの)をまぜて丸めます。それを、これもまた抹茶君自慢のスチームクッカー(電気蒸し器)に入れて15分くらい蒸します。電気蒸し器があると、コンロがふさがっていても蒸し料理ができるし、タイマーがついているのでうっかり忘れることもなく便利だと抹茶君はたいそう気に入っているようです。これは蒸し料理をもっと作りたい私も欲しいと思っていますが、台所のカウンターのスペースを食うのが玉に瑕で、粉挽き機だの電気蒸し器だのであふれかえった抹茶君の台所カウンターは「食べ物を置く隙間もないほど」ごったがえしています。
料理を教えていただけるだけだと思っていたのですが、料理ができたら当然のように「さ、みんなで食べよう席について」と言われてご馳走になることになりました。ビーフステーキにクネーデルにサラダ。仕事に疲れて帰ってきた奥様も大満足のテーブルです。初めて低温調理したビーフを食べましたが、うゎあああああと叫ぶくらいやわらかい。塩コショウすらしていないというのに、肉の味が直に伝わってきておいしい。クネーデルはもちもちしていて、ちょっとチーズの酸味があってワイルドな粉が実に自然の滋養に満ちているかんじでおいしい。なんか、大草原の小さな家を都会のキッチンでやってみましたという感じです。抹茶家は決して贅沢な暮らしをしているわけではなくむしろかなり質素ですが、ドイツ人には珍しく、衣食住のうち「食にもっともお金と情熱をかけている」のがわかります。
抹茶家の食卓レポートが長くなりましたが、家でもその後やってみました。思い切って1キロ38ユーロもする牛フィレ肉を買ってみました。こちらでは高いほうですが、日本だと100グラム400円くらいの牛肉って普通にありえますよね。これをささっと焼いて、90度のオーブンに入れておきます。夫が帰って来て食べる準備ができるまでだいたい1時間ほどオーブンに放置していましたが、本当にジューシーでおいしかったです。これはおもてなしにもいけるかも?と思いました。ステーキは焼きたてを食べて欲しい。でもお客様が来てから台所に立って調理するのはばたばたしてスマートでない。焼いておいてオーブンにいれておけば、いつでもお出しできて暖かい。
その後、これは安い肉でもこんなにジューシーでおいしいのかな?と実験してみました。今回は激安スーパーで値段は3分の1以下のキロ10ユーロくらいの牛ステーキ用。同じ手法でやってみましたが、やはりこちらは固くて不味かったです。あわてて細切りにしてありあわせの野菜やオイスターソースで炒めてなんちゃって中華に変身させてなんとか食べられましたが・・・。当然といえば当然ですが、お肉は調理方法だけではなくて素材も重要だなあと思った次第です。
by raquel_2006
| 2009-05-31 18:32
| 抹茶君(ドイツ人の友達)